現場の実態と保護者の不安
放課後等デイサービスを卒業して成人になると、選べる日中活動の幅は急に狭まる。重度の知的障害や強度行動障害がある人は、受け入れ先が限られるためだ。保護者の高齢化も進み、子どもの将来に対する不安は深刻化している。
当事者や家族は、利用先を探して教室や事業所を何度も訪ねる。だが断られるケースも少なくない。地域での支え合いには限界があり、行政の「見えない網」が穴をあけているように感じられる。
市の対応は個別調整が基本だが
議会で市は、相談支援専門員や特別支援学校の教員らが連携して個別に調整していると説明した。必要があれば津山地域障害者基幹相談支援センターとも連携するという。対応は手厚いが、事例の全体像は市として把握していない。
市が件数を集計していないため、どれだけの人が“行き場”を失っているのか数字で示せない。個別対応頼みの体制では、同じ課題を抱える家庭が増えた際に局所的な混乱を招く危険がある。
拠点の不在が示す制度の脆弱さ
生活介護事業所は市内に存在するものの、重度者の専門拠点と位置づけられる施設はない。重度対応のノウハウや人員確保は施設ごとにばらつきが出やすい。結果として、受け入れ可能かどうかは事業所と個別交渉になりがちだ。
議場では、件数の見える化と拠点整備を求める声が上がった。行政は今後も関係機関との連携を強化すると答えたが、拠点創設や人材育成といった構造的な対策はこれからの検討課題である。
8050問題と重なる危機感
親の高齢化と子の支援ニーズが重なる状況は、8050問題の文脈ともつながる。介護負担が長期化すれば、家族の生活や地域福祉全体にしわ寄せが出る。制度の受け皿不足は当事者だけの問題ではない。
目先の個別対応に加え、将来を見据えた計画が求められる。拠点の整備、人材確保、利用件数の把握という三つの柱をどう実行するかが、地域福祉の持続性を左右するだろう。