背景:議場に響く『もっと早く』の声

議会では被災地の現場感覚が何度も示された。鴨方駅周辺の里見川や平成30年7月豪雨で傷んだ支川の映像が問題意識を強めた。

県側は一級・二級を問わず流域治水プロジェクトを掲げている。ただ、計画を作るだけでなく即効性のある掘削や伐採の優先順位付けが求められている状況だ。

田んぼダムは“万能薬”か 普及の現実と限界

田んぼダムへの期待は大きい。農地に一時的に水をためる仕組みは河川への負荷を減らし、農業者にも利点をもたらす。ただし県内の実証例はまだ限られる。

遠隔操作できる自動給排水栓など実証事業は始まったが、普及には運営体制や費用負担、維持管理の明確化が必要だ。農林水産部と土木部の連携が鍵を握る。

即効策と長期計画の綱引き

県は河道掘削や樹木伐採を即効策として位置づけ、対象箇所の追加や優先化にも柔軟に対応すると答弁した。しかし手は回り切っていないとの自認も示した。

堤防を単純に高くする提案には慎重論が出る。上げれば流下量が変わり、かえって内水被害を拡大するリスクがあるためだ。技術的判断と住民理解が両輪で必要である。

課題の核心:資金、土地、ガバナンス

予算の確保と優先順位が議論の中心だ。補正予算に公共工事を前倒しする動きはあるが、長期的な事業には継続的な財源が欠かせない。

さらに遊水地や貯留池は広大な用地を要する。土地取得や地権者との調整、自治体と県の役割分担が具体化しない限り、計画は進みづらい。