数字が示す「増加」の正体

警戒区域と特別警戒区域の数が増えた理由は単純だ。県は平成29年度から令和3年度にかけて特別警戒区域の指定に集中的に取り組んだ。基礎調査を終え、対象の洗い出しが一気に進んだのだ。

その結果、指定の網が広がった。議会では指定自体が県民不安を呼んだとの指摘が相次いだ。行政は保全すべき人家が多い箇所などを優先し、段階的にハード対策を進める方針を説明した。

太陽光、盛土、避難所。現場で摩擦が噴出

太陽光パネルの設置問題が火種になった。法令上は問題なくても、警戒区域や上流域での設置は地域の不安を招く。県は国のFIT情報と区域データを重ねて点検し、必要なら事業者に注意喚起する方針だが、情報は順次対応となっている。

盛土の総点検でも課題が浮かんだ。約1,200箇所の点検で7割が済んだと報告された。だが過去の豪雨で被害が出た区域は指定外にも残る。避難場所でも問題がある。緊急避難場所のうち警戒区域内に位置する施設は相当数あり、長期避難を想定した避難所とは性格が異なるため再検討が求められている。

砂防ダムの老朽化と維持管理の綱渡り

築後年数の経った砂防ダムが増えている。県は長寿命化計画に基づき約1,600か所を定期点検している。劣化や損傷を評価し、改築や修繕を優先的に進める方針だ。

一方で満砂の一括集計は行っていない。満砂状態でも抑止効果はあるとする設計上の前提はあるが、堆砂が下流被害を招く恐れがある場合は撤去すると説明するにとどまる。点検頻度と撤去・再整備の財源確保が今後の焦点だ。

道具立てと連携の模索 デジタル化が担う役割

県は3次元デジタル地形図の整備を進めている。ため池や避難所、盛土、急傾斜地などをレイヤー化して見える化する計画だ。これが住民の理解と行政の迅速な判断を後押しする期待がある。

市町村との連携も鍵だ。指定後の現地対策は地元合意が必要で、ソフト施策の周知や避難計画の支援も並行する。だが資金と人手は限られる。議場では優先順位の明確化と国の補助活用を求める声が強い。