現状は「進んでいる」と行政、だが増える対策必要池
県は複数年にわたる調査で4,105か所を防災重点ため池に指定し、優先度をつけて対策を進めている。最新の年度末見込みでは、防災工事の進捗や評価が一定の割合に達していると報告された。
ただし評価が進むほど、追加の対策が必要と判明するケースが増えている。特に地震と豪雨の耐性評価で新たに高リスクと判定されるため池があり、当初想定より手間と費用がかかる局面が生じている。
監視網の薄さが露呈、水位計は数十基に留まる
現場の危機管理は依然として目視中心である。県の説明によれば、水位計はこれまでに22か所、監視カメラは4か所と限定的だ。遠隔監視の導入は各管理主体の判断に委ねられている。
国が整備するため池監視プラットフォームの存在はあるが、全国での活用例は稀で有効性の検証が続く段階だ。県は補助事業の案内や技術助言で導入支援を続ける方針だが、導入・維持の現場負担がネックである。
廃止と改修の選択──受益者負担と合意形成の壁
県は農業利用のないため池を優先的に廃止する方針を示している。既に今年度は40か所を廃止する計画で、下流被害の防止効果は数十億円規模になるとの試算も示された。
しかし廃止には水利権や受益者負担の問題が絡む。使われていない水利権者が反対するケースや、費用負担をどう地域で配分するかという合意形成が進まない例が続出する。県は国の受益者負担免除制度やサポートセンターを活用して調整を図る考えだ。
人的体制の脆弱さが計画の足を引っ張る
市町村の技術職員不足は繰り返し指摘される問題だ。評価や工事の現場説明、地元との調整をこなす人員が足りないため、県はサポートセンターの強化や職員派遣で補完しようとしている。
優先度の再設定や規模縮小、統廃合でコストを抑える検討も進む。とはいえ、現場の合意形成と恒常的な維持管理をどう担保するかが、目に見える成果と行政信頼を左右する。