何が起きているのか

中山間地域では人口減少と高齢化が進んだ。医療従事者の高齢化も重なり、診療所や訪問介護の維持が難しくなっている。県北では閉院や事業所の休廃止が具体化している。

実際に昨年度は26件が新設された一方で28件が休廃止になった。廃止理由は半分近くが人材不足や後継者難である。住民は身近な受診や買い物で困り始めている。

遠隔診療と現場の摩擦

県は保健所や医師会と連携し、往診とオンライン診療の仕組みを整えようとしている。感染対策や緊急時の初期対応で遠隔診療の有効性が示された場面もある。

一方で議会では、オンラインだけで全てが解決するわけではないという反論がある。医師や看護師の人的余力が乏しい中で、遠隔診療をどう現場運営と両立させるかが問われた。行政はまずモデル地域で実証し、課題を洗う姿勢だ。

移動と物流の刷新──MaaSとドローン

通院の困難さを補う手段として医療MaaSが注目されている。県はICTや医療機器を搭載した巡回車両やデマンド交通と組み合わせる構想を示した。移動と医療を一体化する発想だ。

物流面ではドローン配送が候補に上がる。医薬品や検査物の迅速輸送が期待される。ただし運航ルールや費用対効果の検証が不可欠だ。議会は実効性の担保を厳しく求めている。

残された課題と分岐点

最大の壁は「人」である。看護職や助産師、介護職の偏在と高齢化が続く限り、技術だけでは穴を塞げない。県は研修や雇用補助で人材育成を図る方針だ。

もう一つは財政と責任の所在だ。ドア・ツー・ドアや巡回診療の費用を誰が負担するか。自治体、県、国、民間の役割分担を定められるかで実装の可否が分かれる。議会の議論は今後の設計図を左右するだろう。