人材不足が在宅医療の核心

県は在宅医療を支える人材を増やす方針だ。だが、現場の到達は厳しい。特定行為研修の修了者が目標に遠く及ばない。

理由は明確だ。研修に時間と費用がかかる。病院側が人員を割けない事情もある。加えてパンデミック対応で研修が滞った。県は研修制度の周知や体制整備で対応すると説明するが、具体的な支援策は示されていない。

医師の訪問診療も課題だ。現状は電話やオンラインが中心だが、急変時には訪問が不可欠だ。県は医師会と連携し数十名規模の協力体制を作ったとするが、恒常的な訪問体制の拡充は未完のままだ。

就労支援は“理解促進”で足踏み

企業側の理解が不足すると、治療と就労の両立は難しい。県は相談窓口やセミナー、ネットワーク会議で働きかけを続けている。

議会では県職員の採用枠を難病患者向けに設ける提案も出た。県は他県の事例を参考に研究する考えを示すにとどまる。現場からは、法改正の周知だけでは同僚や上司の理解は進まないとの声がある。

結局、制度の周知と現場の風土改革を同時に進める必要がある。県は労働局や経済団体と連携する方針だが、効果的な働きかけ方法の詰めは残る。

AYA世代と災害時対応、忘れられがちなリスク

AYA世代のがん患者は特有の課題を抱える。県は相談員向け研修や連携体制の整備を進めるが、経済的助成の新設は考えていない。つまり費用面のハードルは残る。

在宅で人工呼吸器を使う人の停電対策も重要だ。県は避難訓練のモデル事業を行い、非常用電源確保の課題を共有している。だが実地の要望が少ないとされ、補助制度の活用は限定的だ。

いずれも命と生活に直結する問題だ。制度設計だけで終わらせず、具体的な資金措置や現場装備の整備が問われる。

残された争点と行政の次の一手

議会は数年にわたって行政に突きつけ続けた。行政は方針を示すが、細部の実行計画はこれから詰める段階だ。

今後の焦点は四つある。研修修了者の実効ある増員策、訪問医療を支える常設の仕組み、企業風土を変える具体的施策、災害時の電源や避難先の確保だ。

県は国や他県の動向を見ながら進める方針だ。市民は数値と実行計画の両方を求め続ける必要がある。