現場の痛みと数字に現れない危機感

乳牛30頭規模の酪農家が「半年から一年、補填が続かなければ離農する」と訴えた。餌代が経営を直撃し、家計負担だけでなく生産継続そのものが危ぶまれている。

配合飼料の高騰は短期間の支援で収まらない可能性がある。現場は予測不能なコスト変動に脆弱だ。県内の畜産基盤の維持は、単なる補助金だけでは解決しない構造問題を抱える。

県と市の支援のすれ違いと議会の追及劇

県は平成29年度から資材や薬剤の補助を継続している。令和4年度に市が県と連動した補助を始め、今回さらに市が拡充した点を県は歓迎すると答えた。だが議場では「県独自で高騰分を全額補填すべきだ」との強い要求が出た。

県は国の価格安定制度の見直しを全国知事会などを通じて求めてきたと説明した。差額補填や輸入停止といった踏み込んだ対策は国の検討事項とし、県は国の動向を注視する姿勢だ。

ブランド強化と自給率向上――両輪での攻め方

「おかやま和牛」の付加価値を高める努力が求められる。高付加価値化で飼料価格の上昇を転嫁する余地をつくる必要がある。だが値上げだけでは消費の落ち込みを招く懸念もある。

もう一つの柱が地元飼料の増産だ。稲ホールクロップサイレージなど地域資源を活かして自給率を高めれば、価格変動の影響を和らげられる。行政は現場の取り組みと制度設計をつなぐ役割を果たすべきだ。

残された課題と次の一手

堆肥化の基準や臭気対策で市と連携する必要がある。県は市の基準と連動して薬剤等の使用を促進するとしたが、現場がすぐに恩恵を実感できる仕組み作りが欠かせない。

緊急時の資金支援や長期的な自給体制づくり。両方を同時に進めるための政策パッケージをどう設計するかが、次期議論の焦点になるだろう。