相談は増えた。だが“移住”は別問題だ
県はデジタルマーケティングや移住フェア、首都圏のアンテナショップを通じた発信を強めた。相談件数は増加し手応えを示している。
議員側はここに慎重だ。相談が実際の移住や長期定着につながるのか。行政側も因果関係の把握は難しいと認めている。
実際には相談を契機に現地訪問や短期滞在を経て移住につながる事例がある一方、移住後に仕事や地域関係で悩むケースも報告される。フォロー体制が問われている。
支援金・受入れ環境の“拡充”と“穴”
首都圏出身者向けの支援金や面接費用補助など、募集側の誘引策は整備が進む。来年度から引越し費用補助を加える動きも示された。
一方で支給実績や効果の公表は不十分だ。支援金の対象を東京23区に限定する理由にも議論が続く。全国展開の是非も問い直されている。
受入れ面では空き家情報の整備や通信環境の補助、移住コーディネーターの育成などが進む。だが市町村ごとの温度差と連携不足が課題だ。
若年層・女性の掘り起こしと地域間格差
20代の流出や関西へ進学した若者のUターン率の低さへの対策が目立つ。女性向け交流会や大学連携プロジェクトで受入れを強化する方針だ。
中山間地域では人口流出が深刻だ。議会では部局横断の重点化やインセンティブの導入まで議論が及んだが、県はまずは生活を回す仕組みと代替策の導入を優先する立場を示している。
働き方の変化を追い風に二地域居住やテレワーク促進を掲げるが、交通や日常利便の差は見過ごせない。移住希望者へのデメリット周知が重要だ。
測る仕組みが鍵だ
議場では複数回、施策の検証不足が批判された。PDCAを回すためには移住後の実態把握と成果指標が不可欠だという指摘が強い。
県は各種データ活用やアクセス解析を進めていると説明する。だが実務レベルで市町村や関係機関とデータを連動させる仕組みはまだ途上だ。
今後は定量的な目標設定とフォローアップ体制の強化が、相談増→定着という目標達成の分かれ目になる。