現状と危機感の源泉
地元のローカル線は利用減で採算が悪化している。JRが優先的に見直す基準は一日平均利用者2,000人未満だ。県内の一部区間はこのラインに近づきつつあるため、自治体と県は強い危機感を共有している。
単なる数値以上に重いのは通学や通院という日常だ。県の調査では、対象となる県立高校9校の在籍生徒の約23%にあたる1,003人がJRを利用している。支援学校高等部でも約27%に当たる31人が津山線を使う。数が示すのは、路線が地域生活の血流であるという事実だ。
協議会と政務の攻防
令和6年に県を含む関係者で設置された再構築協議会は、全国でも先鞭をつける枠組みだ。県は前提を置かず幅広く検討すると表明した。だが協議と並行して、国への支援要請や広域的な調整も求められている。
議会では『廃止を前提にしない』との声と、『現実的な転換策も必要だ』との現場論がせめぎ合った。県は市町村と連携して利用促進に力を入れる方針を示す一方で、運行補助や上下分離といった抜本策は国の支援が不可欠だと繰り返している。
実証事業と現場の取り組み
協議会の調査は潜在需要の洗い出しや利便性の便益分析に重心を置く。調査結果をもとに実証事業を展開し、成功例を他地域へ横展開する計画だ。地域のまちづくりや観光振興と結びつける視点も打ち出している。
具体策も動き始めた。バスによる実証運行が開始され、学生向けの定期券出張販売や窓口支援、小冊子の配布など当面の便宜は進む。サイクルトレインや観光列車の導入も検討され、地元と県が連携して誘客へ知恵を絞っている。
残された選択と住民の視点
県はパーソントリップ調査で移動実態を把握し、運行ルートや二次交通を見直す方針だ。だが調査と助言だけで全てが解決するわけではない。運行補助や制度的な枠組みがなければ、採算性の問題は先送りにしかならない。
住民の理解と参加も鍵である。議会は県に対し、沿線住民の生活利便を最優先にした協議運営を求めた。短期の対策と長期の制度設計を併走させること。それが地域の足を守る唯一の道筋である。