なぜ進まないのか——現場で見える三つの壁
耐震改修は所有者の判断と費用負担が前提だ。改修には高額な工事が伴う。高齢者や賃貸住宅の入居者には手が届きにくい状況である。
中山間や過疎地では住宅の更新機会が少ない。建て替えが起きず、旧耐震基準の住宅が残り続ける。自治体ごとの予算力の差も進捗の分かれ目になっている。
議会での論戦が浮き彫りにした対立軸
議員側は目標未達の理由と即効性のある手立てを追及した。補助率や限度額の見直し、戸別訪問の強化を求める声が強い。
行政側は所有者責任を前提にしつつも、補助の拡充や広報の強化で対応すると説明した。性能規定に基づく柔軟な改修方法を示し、国の基準検討の動向も注視する方針である。
高齢者・賃貸・空き家を巡る現実的解
家全体の改修が難しい世帯には耐震シェルターや防災ベッドが現実的な命を守る手段となる。だが周知不足が課題だ。
賃貸住宅では大家との費用負担の調整が障害となる。空き家利活用の補助と連携すれば、地域の実需に合わせた改修の入口を作れる可能性がある。
制度活用と現場の接続が今後の鍵だ
自治体任せにせず県が誘導する仕組みが求められる。補助の上乗せや一括交付による手続き簡素化が検討課題だ。
同時に省エネ改修や空き家活用と組み合わせる横断的な補助設計が効果を高める。国の耐震基準見直しにも即応できる体制構築が必要だ。