現場が語る被害の実態と焦り
白桃は果肉の変色や日焼けが増えている。見た目が悪くなると高級桃としての価値が落ちる。出荷できない果実が増え、経営に直結する痛みだ。
マスカットでは特に着色不良が問題だ。黒系や赤系の品種は色づきが安定しないため、栽培者の間でシャインマスカットへの改植が進んでいる。だが改植は種苗費や植え替え期間の収入減を伴う。
県の取り組み――研究所は試験を始めたが
県は桃・ブドウ・いちごを中心に独自品種の育成に取り組んでいる。国や民間が作った優良品種も試験し、地域適応を見極めながら導入を進める方針だ。これは議会でも繰り返し示された到達点である。
赤系ぶどうのつなぎ品種として注目されるナガノパープルについては、着色は良いが皮が薄く劣化しやすいという評価がある。県の農業研究所は本年度から生産安定化の試験研究を始め、品種と栽培技術を同時に詰めている。
争点は『時間』と『現実的選択』
育種は数年から十年以上かかる。議場では県による独自育種を求める声と、国や民間の既存品種を速やかに選ぶ現実的対応を重視する声がぶつかった。
生産者は即効性のある支援を求める。遮光資材や栽培指導といった短期対策と、耐暑性品種への改植を後押しする助成や苗の供給体制が求められている。
残る課題と今後の視点
まずは短期的な被害軽減だ。遮光や栽培法の普及、産地別の栽培マニュアル作りを急ぐ必要がある。即効性を持つ技術支援が生産者の離脱を防ぐ鍵である。
中長期では『つなぎ品種』の試験拡大と、国や民間との連携を強めることだ。新品種育成は不可欠だが、現場の負担を和らげるコスト分担策も検討すべきである。