何が問題か――昼は動く、夜は止まる
ドクターヘリは昼間の活動で多くの救命を支えている。だが天候や暗さで運航をやむなく断念する例が報告される。夜間の運航体制は全国的にも難題だが、県内でも対応方針が固まっていない。
夜間運航を増やすには機材・人員・安全基準の整備が必要だ。装備投資や乗員の労務管理、自治体間の役割分担などコストと制度の課題が絡む。結果として現場ではドクターカーの活用や消防、自衛隊との協調に頼る場面が増えている。
重複要請の現実――同時刻の“頼み先”は足りない
複数の現場からほぼ同時にヘリ要請が来る、いわゆる重複要請は運航の大きな悩みだ。ヘリは数に限りがあり、同時対応は原理的に難しい。どの要請を優先するかは現場判断に委ねられ、基地病院や医療調整の負担が増す。
議会では重複時の運用ルール整備や広域での連携強化を求める声が繰り返された。県は市町村と協議しながらモデル的な連携や補完手段の検討を進める姿勢を示しているが、即効性ある対策はまだ乏しい。
整備と訓練の積み上げ――だが“想定外”は残る
県は離着陸場の確保や防災訓練を進めている。山間部の孤立集落を洗い出し、離着陸場所の整備や物資輸送ルートの確認を市町村と進める方針だ。実地の訓練ではホイスト救助や物資降下の成果も確認された。
ただ訓練は条件が限定的で、能登半島地震のような大規模災害を想定した高度な想定にはまだ課題がある。天候や地形で運航不可になった場合の備蓄や地域防災計画の実効性が改めて問われた。
基地病院の負担と地域医療の視点
ドクターヘリの拠点となる基地病院には大きな負担がのしかかる。重複要請や夜間要請が増えると、搬送先や受け入れ調整の手間が増し、スタッフの負担も重くなる。議会でこの点を懸念する指摘が相次いだ。
県は川崎医科大などの連携や国の支援策も視野に入れつつ、基地病院の負担軽減策を模索している。補助制度や運航補完のドクターカー導入、市町村との役割分担の明確化が必要である。