現場の実情と点検の範囲

県は海岸保全施設を長期的に維持するため、平成31年に長寿命化計画を策定した。定期点検で現状を把握し、優先度に応じて補修や大規模更新につなげている。点検は35海岸を対象に実施された。

現地では護岸の洗掘やのり面侵食が散見される。豪雨や台風の度に復旧を繰り返す場所もあるため、原形復旧だけでなく改良やのり面保護を併せて検討する例が増えている。

議会での攻防:何を急ぐべきか

議員側は県管理の海岸や河川護岸について、一斉の緊急点検を求めた。特に路面陥没事故を受けた今年の議論では、港湾や護岸の安全確認を強く求める声が上がった。

行政側は一斉点検は行わない方針を示した。だが河川・海岸沿いの緊急輸送道路など重要区間は重点的に調査し、空洞の恐れがある箇所は継続的に点検すると説明した。

技術と予算の両輪で進める更新策

県はAIを使った舗装点検やドローンによる点検の導入を進める計画だ。画像解析を導入し、路面下空洞調査と連携させて未然防止に結び付ける方針である。

財源面では国の五か年加速化対策や三か年緊急対策を活用する姿勢だ。補助と県単独事業を組み合わせ、トータルコストを抑えつつ優先的に修繕を進めると説明している。

残された課題と今後の見通し

大規模な水門更新や堤防かさ上げは段階施工が基本だ。工事は非出水期に進め、仮設の締切り性能を分析して安全を確保する手順を取るとされる。

しかし人手の高齢化や担い手不足、予算の制約は依然として大きい。技術革新の実用化を急ぎつつ、地域の生活・景観・生態系への配慮を両立させることがこれからの焦点だ。