増える通告、追いつかない“経験”の重み
虐待対応の現場は数だけで語れない。配置基準は前倒しで整えたと県は言う。だが急速な増員の多くは経験浅の若手だ。
議会では経験ある職員による指導やスーパーバイザー配置の強化を求める声が絶えなかった。研修の積み上げなしには事案判断の質は担保できない。
実務では、緊急対応とその後の支援を分離する体制をつくったと説明される。だが現場からは引継ぎや情報共有の負荷が漏れてくる。
新基準が突きつける一時保護所の現実
国は一時保護所の設備や配置基準の見直しを進めている。小規模施設は基準対応で運用が難しくなる可能性があると担当は認めた。
実際に津山のような小規模拠点は、中央児相や地域施設と連携して機能を補ってきた。基準改定がその連携を崩す懸念がある。
さらに一時保護所は被害児と問題行動のある子が同じ施設に入る現実を抱える。居室分離や個別プログラムで対応しているが、恒常的な設備投資と人員増が急務だ。
里親拡大の期待と現場の矛盾
県は里親委託を拡大し家庭的養育を進める方針だ。里親の登録は進み、委託率も上がってきたと説明される。
だが里親支援を行う県職員は9人しかいない。丁寧なマッチングとアフターフォローが欠かせない中で、人手の不足は明白だ。
議会で指摘されたのは、委託率を追うあまり個々の子どもに最適な養育を選べなくなるリスクだ。兄弟を一緒にする配慮や、施設が適切なケースもあり得る。
議会で交わされた論点と未解決の問い
複数年にわたり、議員は増員の実効性や処遇改善を追及した。国への働きかけや大学との連携など、確保策は打たれてきた。
一方で、里親支援プランが国の財政支援で不採択になったことへの説明は乏しい。なぜ採択されなかったのか、分析は進んでいないと答弁された。
“救える命を確実に救えているか”という根本的な問いは残る。数を揃えたのちの質の担保が今後の焦点だ。