待機は減ったが数字の裏に残る個別の深刻さ

市の答弁では特別養護老人ホームの待機者が近年減少していると示された。令和元年度末から令和7年5月までに減少が見られる。

だが議会で取り上げられたのは統計だけでは拾えない事情だ。入居負担を理由に離婚や生活困窮に陥ったという個別事例が指摘されている。市は窓口相談を案内するにとどまり、独自の救済策は明言していない。

施設整備は進むがグループホームの入れ替わりが鮮明

過去数年で特養の新設は一定数にとどまり、廃止はほとんど発生していない。対照的にグループホームでは新設と廃止が繰り返された。

廃止の理由に人材不足が含まれる例もあるが、市は労働条件が直接の原因かは把握していないと述べる。施設の供給を増やしても、人手が足りなければ受け皿は生きないという現場の矛盾が表面化している。

人材確保と処遇改善の行方が計画の命運を握る

市は介護ロボットやICT導入支援、講師派遣などで現場支援を進めている。これらは離職防止や業務軽減に資するが、本丸は賃金と職場環境である。

令和6年度の介護報酬改定で処遇改善の流れは生まれた。だが他産業との差は残るとして市は国の取り組みを前提にしている。市独自の恒常的補助は現時点で予定しないという判断だ。

保険料と基金の扱いは国の動向を見極めて判断

第9期の素案は第8期の理念を受け継ぎつつ、相談支援や認知症対策を強める方向だ。保険料の段階や基金の取り崩しなど財政的な設計は試算段階にとどまる。

市は保険料の最終判断を国の制度改正や介護報酬の動向、給付実績を踏まえて行うと説明した。市民生活への影響が大きい点だけに、見極めを急ぐ姿勢だ。