現場の実態と数字が示す危機

岡山市の加入者構成は低所得と年金世帯が中心だ。平成30年度の集計で所得なしは26.3%、200万円以下は73%となっている。収入の乏しい世帯が多数を占める構図だ。

滞納は約2割に達しているとの指摘が繰り返される。滞納を防ぐため早期に差押えをする運用が採られた結果、件数は増えたが一件当たりの差押え額は相対的に小さくなったという実情がある。

議場での主な攻防

議員は協会けんぽと比べて国保料が高い点を鋭く追及した。ある議員は協会けんぽの負担率と比べ『約2倍』という市民からの声を紹介した。市は国の財政措置が前提で市単独の大幅引下げは難しいと応じた。

コロナ減免が外れた世帯で保険料が急増し、事業継続支援金など一時金が相殺される実例も問題になった。市は個別相談や既存の所得激減対策を案内すると説明したが、議員側は実効性を疑問視した。

行政のカードとその限界

市は基金を一定程度温存しつつ、急激な負担増が見込まれる場合に基金を取り崩して保険料の急騰を緩和する考えを示した。令和5年度は県と調整し基金を活用して前年度並みに据え置く方針を明らかにした。

しかし基金の取り崩しは恒久策にならない。県が求める納付金は国の係数で算定されるため、根本的な負担軽減は国の追加財政措置に依存するとの認識が行政側にある。市単独での解決は難しいのが現実だ。

市民生活への影響と残された課題

差押えや短期保険証の運用は医療機関受診に影を落とす懸念がある。市は短期証や資格証でも受診は可能と説明するが、受診抑制や感染対策上のリスクを指摘する議員もいる。相談窓口の周知と実効的な救済が課題だ。

今後は県や国との交渉に加え、収納率向上の対策と低所得者向けの柔軟な減免運用が求められる。基金活用は短期的な緩和手段にすぎないため、持続可能な財源確保の道筋を描く必要がある。