総点検の結果と市の定義

岡山市は令和3年度に市内の盛土を総点検した。市の評価では、直ちに人的被害を発生させる危険な盛土は確認されなかった。都市整備局長は「危険な盛土」を、施工や維持管理が不適切で亀裂や地下水流出によって人家等に被害を及ぼすおそれがあるものと定義している。

ただし総点検は目視や書類確認が中心だった。深部の状況を把握するボーリング調査や近隣住民への聴取は、場所ごとに合意と協力を得たうえで実施する方針だ。調査手法の詳細は県の指示や現地事情に左右されることも示された。

区域指定までの手順と市の対応姿勢

盛土規制法は施行後の経過措置期間内に基礎調査を実施し、候補区域を公表してパブリックコメントを経て指定する流れを市が示した。基礎調査にかかる予算は令和6年2月の議会で補正計上する予定だ。スケジュールを明示して調査を進める姿勢である。

区域指定後に危険箇所と判断されれば、聞き取りや立入検査を実施し施工者や所有者に是正を指導する。是正に応じない場合の対応や具体的な工法指定については、個別の事情に応じて判断する方針だ。

市民の不安と現場の論点

市民側はどの場所が点検対象になったか知りたいと繰り返す。県の点検報告は結果のみの公表が中心で、点検箇所の明示が不足しているとの指摘がある。透明性の欠如が不信感を生み、住民説明の丁寧さが求められている。

現場では道路沿いの民地斜面や農地での盛土、林地開発に伴う残土処理が論点だ。農地内の盛土は農地法の手続に加えて盛土規制法の手続が必要となり、関係部署間の連携が重要となる。新庁舎や再開発で生じた残土の受け入れについては事業者責任で安全確認を行っていると報告があるが、監視と情報公開を強化する余地は残る。

調査の精度を高めるために残る課題

ボーリング調査や地下水調査などの詳細な検査は費用と合意がネックだ。市は所有者の協力を前提に調査を進める構えだが、合意が得られない場所は実態把握が遅れる恐れがある。費用負担と実施手順を明確にする必要がある。

点検結果の公開方法も課題だ。どの地点をいつ調べたかが分かれば住民の安心につながる。市は候補区域の公表やパブリックコメントで透明性を確保するとしているが、地図やリストの早期公開が求められる。