増えた理由と波乱の変遷

結成率は短期間で上昇した。令和2年3月末時点では単位町内会の結成率は約6割にとどまっていた。市は当時、連合町内会を軸に説明会や窓口を設け、結成を後押しした。

コロナ禍で訓練が停滞した時期もある。実地の訓練が減り、助成金の活用が低下した。議会では使われない助成をどう周知するかが繰り返し問われた。

その後、モデル地区での個別避難計画づくりや出前講座が進んだ。令和3年には組織率が一気に高まり、直近の答弁では令和6年度末までに95%台に到達したと報告された。

議場で突きつけられた“現場の困りごと”

議員は繰り返し、町内会未加入世帯や高齢化で単独運営が難しい地区の存在を取り上げた。小規模町内会の実効性をどう担保するかが論点になった。

助成金は単位での申請が原則だが、複数町内会でまとめて使うことは運用上可能だと市は説明した。しかし資機材を置く場所の確保や貸出の仕組みは個別相談頼みだ。汎用的な保管支援は示されていない。

福祉避難所の情報伝達や避難所の収容限界も議論になった。満員時の誘導先や夜間訓練の助成など、実務に直結する細部の詰めが求められている。

人材育成と個別支援の“これから”

防災人材の裾野を広げる試みはある。防災まちづくり学校の修了者は各コースで数十人規模だ。だが自治体内では防災士取得のハードルを下げる短時間講座の要望も上がった。

個別避難計画は名簿掲載者を優先に作成中だ。モデル地区でノウハウを蓄積し、ハザードが高い地域から段階的に展開する方針だと市は答えた。だが市民一人一人に行き渡るまでの道筋は依然、途上にある。

女性リーダーの実数は把握できていない。議会は女性の参画促進や地域で使える“ライト版”講座の導入を繰り返し提案した。人材の多様化が次の課題だ。

議会の追及が浮かび上がらせた争点

助成の未活用、申請書類の負担、複数町内会による共同申請の仕組み。ここ数年の質疑は現実的な運用課題に終始した。市は押印廃止や記入例で手続きを簡素化すると説明した。

町内会未加入世帯の扱いは議場で特に鋭く尋ねられた。市は町内会の働きかけを促す方針を示したが、具体的なフォロー策は限定的だ。

総じて議員側は“普及”をゴールと見なさず、実働できる体制の構築を求めた。市は提案を受けて検討を続けると答弁している。