現状と数字の裏側
市が行った全戸目視調査で空き家は約8,900戸と集計された。地区ごとに偏りがあり、倉敷・児島・玉島で特に多い。数字だけ見ると遂行の規模が分かるが、現場では所有者の所在不明や相続放棄が複雑さを増している。
行政はまず啓発と相談を重視する。空き家バンクや改修助成、居住誘導区域の改修補助を整備してきた。だが登録件数は少数にとどまり、流通や利活用には一段の工夫が求められる。
議会での攻防 — 拡充を求める声と行政の回答
議員は早期介入を強く促した。入院や施設入所で孤立する高齢者について、高齢者支援センターと連携して事前に家じまい情報を届けるよう迫った。市は住まい相談の窓口で制度紹介や関係機関へつなぐと答え、チラシ配布などでの周知強化を約束した。
補助金創設を巡る攻防も続いた。所有者が処分費用を負担しきれないケースを念頭に、家財や残置物処理の補助を求める提案が出された。行政側は一時多量ごみ制度の周知を進める一方で、処理費補助の創設は見送る考えを示した。
実務の壁:代執行と費用回収の現実
危険な空き家は特定空家に認定し、補助制度や代執行で除却を進める。だが解体後の更地や撤去費の回収は不確実だ。相続人が不在の場合、相続財産管理人を通じた債務整理に期待するしかない例がある。市は購入希望者探しで地域と連携すると説明した。
一時多量ごみ制度の利用は増えている。利用件数は年々伸びるが、約款に基づく制度運営だけでは処理費の負担を抱える所有者の根本解決にはならない。現場では法的手続きと財政支援の組み合わせが課題である。
空き家バンクと利活用の試み
市は中古住宅の流通促進を目指し空き家バンクを整備した。創設後の相談は多いが、登録と成約は限定的だ。市は電子申請の導入や相談会でPRを続け、地域業者と連携して改修助成の周知を図っている。
居住誘導区域での改修助成は改修費の2分の1を上限50万円で支援する。耐震要件や市内業者による施工など条件があるため、費用面と制度要件のせめぎ合いが利活用の鍵になる。