市が進める“公”の備え

議会記録には公共の雨水対策の動きが繰り返し示されている。日吉町の土地区画整理事業では、公園予定地に雨水を一時貯留する槽を埋設する計画が明言された。

農業用の排水機場も単なる田んぼのためではなく、一定規模の降雨では宅地の浸水防止に寄与するよう改修する方針だ。ため池の水位監視装置の設置も検討に入っている。

議会で追及された“家庭向け補助”の不在

市議らは地域の浸水防止策を繰り返し問いただした。だが住宅や事業所向けの雨水タンク設置に関する補助具体案は議事録にほとんど残らなかった。

結果として、個人や小規模事業者が補助をあてにして設置を進めるには情報不足だ。補助の有無、補助割合、申請手続き、優先地域といった基本事項が不透明なままだ。

現場と行政のズレが生む課題

自治体が公的貯留や排水改修を優先する一方で、宅地単位の対策は住民の自助に依存しがちだ。雨水タンクは個別の敷地状況で効果が変わるため、補助設計や技術支援が重要になる。

さらに周知や申請支援がなければ、特に高齢者やインターネットに不慣れな層は制度を利用できない。開発事業や公園整備と連動した周辺住宅への案内が欠かせない。

市に求めたい“次の一手”

まず市は、住宅・事業所向けの補助制度の有無を明確に公表すべきだ。補助があるなら対象・上限・優先地域を示し、なければ新設の検討スケジュールを出すべきだ。

次に、モデル地区での実証事業を急ぎ、効果や維持管理の実務を実地で検証する。効果が確認できれば補助設計や技術マニュアルを整備して広く展開する。