現場の実態と共有される矛盾
市はまずコミュニティータクシーで地域の足を確保している。65歳以上には一部助成を行い、運賃を引き下げていると説明した。だが利用は地域で差が出ている。コロナ禍で回復が遅れた地区もある。
同時に路線バスや第三セクター鉄道には高齢者向けの割安切符が存在する。市はこれら事業者と連携していると述べたが、駅や路線のバリアフリー化、利便性の確保は簡単ではない。
割引の“線引き”が招く摩擦
岡山県が交付する『おかやま愛カード』は免許自主返納者を主な対象とする。県内で路線バスや一部鉄道の運賃半額、タクシーの割引が受けられる制度だ。議員からは、そもそも免許を持たない高齢者も同等に支援すべきだとの追及が出た。
行政は、安全対策と制度趣旨を理由に拡大に慎重な姿勢を示した。だが一部答弁では、非免許者への支援は『今後研究する』と表明した。線引き問題は議会でたびたび火花を散らす。
ハード整備と財政のはざまで
駅のエレベーター設置は壁にぶつかっている。国の目安では1日平均利用者3,000人以上の駅を優先する。対象外の小規模駅では設置費や維持管理、スペース確保が課題だと市は説明した。
一方、防災や日常の移動支援には機器貸与や情報端末の配備などソフト施策も要る。だが全員配布は財政負担が重く、実効性をどう担保するかが問われる。
利用促進と多様な選択肢の模索
市は地域ごとの住民意見を踏まえて利用促進を図る考えだ。相乗りやボランティア輸送の活用も視野に入れている。コミュニティータクシーの継続には地域の働きかけが不可欠である。
議会では、タクシー乗車補助や非免許者向けの割引創設を直接求める声もある。行政は明確な実施表明を避けつつ、計画や関係機関との連携で可能性を探る姿勢を示している。