現場で進む「調整役」と地域訓練
市は医療・福祉・教育の連携を掲げ、医療的ケア児等のコーディネーターを地域の相談支援センターに配置した。関係機関の接続点をつくり、個々の子どもの生活状況を押さえる狙いだ。
同時に地域では小学校を主会場にした避難訓練が増えた。自主防災組織や防災士を巻き込み、簡易発電機の稼働や感染症対策を盛り込んだ訓練も実施している。市は現場で顔の見える関係づくりを急いでいる。
女性の視点を活かす研修も進む。避難所運営の担い手を育て、発災時に多様な視点で支える体制を整えようとしている。
議会で浮き彫りになった不安と現実の溝
しかし議場では具体的な不安が繰り返し示された。最大の焦点は電源と避難先の確保だ。在宅で人工呼吸器や吸引器を使う子どもが停電に直面した場合、どこで誰が電源を確保し、医療管理を継続するのか。市の答弁は訓練や協議会の整備を強調するが、家族は実態感を求めた。
もう一つは受け入れ体制の「空間」だけでなく「医療ケアできる人材」の問題だ。避難所や福祉避難所に受け入れ枠があるとしても、医療行為を担える看護や介護の手は常に十分とは限らない。市は既存の福祉避難所や学校の福祉スペース活用を示すが、現場での具体的手順はまだ詰め切れていない。
さらに主治医、学校、保育所、相談支援センターの間で必要な情報がスムーズに回る仕組みの明文化も求められている。発災直後に市職員が到着できない事態も想定されており、地域住民が避難所を自力で開設・運営する役割が大きい。だが地域側に医療的ケアの専門性は乏しい。
議場のやり取りから見える核心
議員は繰り返し「絵に描いた避難計画では意味がない」と突き付けた。行政は研修や名簿づくり、訓練を積み上げるが、詰めの段階で家族が納得する説明や選択肢の提示が不足しているとの批判が強い。議会の追及は、制度設計の完成度だけでなく、緊急時の『現場対応力』を試している。