治水は加速した。だが安心は一朝一夕でない
国と連携して小田川の合流点付替えや堤防拡幅を前倒しした。河道掘削や堤防の盛土で安全性を引き上げる工事が進んでいる。市は着実な成果を強調する。
それでも住民の目線は厳しい。避難経路や水路の転落防止、車での避難の扱いなど運用ルールは現場での不安を残す。議会では「徒歩避難を原則にするが、やむを得ぬ場合は車もあり得る」と行政が説明した。
住まい再建の支援は一区切りついたか
被災世帯の多くは真備での再建を望む。一方で解体後の更地に対する税負担や公費解体の遅れが再建を鈍らせる要因になっている。市は国や県に特例延長を働きかけていると答えたが、回答の遅れに焦燥が広がる。
公的支援の申請期限や補助の運用は、個別事情で行き違いを生む。議会質疑では申請期限の延長や周知の徹底を行政が進めているとされたが、抜本的な解決策を求める声は根強い。
地域のにぎわいと暮らし支援は“ソフト面”の勝負だ
祭りや集会所の復活、子どもの居場所づくり、被災者の見守り。コロナで一時止まった動きは昨夏以降、徐々に戻り始めた。地域集会所の再建には補助率の優遇を継続する方針だ。
だが単身高齢者やひきこもり、制度の狭間にいる世帯には届きにくい。市は地域住民やボランティアと連携して段階的に支援へつなげると説明する。長期の伴走が鍵である。
情報と検証――教訓を刻む作業は続く
災害記録誌や被災校舎の浸水表示など教訓の可視化は進んでいる。市は記録誌をウェブや図書館で公開する準備を進め、学校では表示検討を表明した。
同時に災害対応の検証や職員育成も重ねる。現場で共有するシステムの導入や研修、被災地派遣の仕組みを強化している。検証が次の備えにつながるかが問われる。