施策の地図──何をどこまで進めるのか

市はデジタル化を全庁的な方針に位置づけている。デジタルガバメント推進室を設け、窓口DXや書かない窓口の導入を進める狙いだ。窓口側の事務負担軽減と市民利便の向上を同時に目指している。

災害対策では避難行動要支援者台帳の運用や、緊急告知アプリ、緊急告知FMラジオの普及も進める。これらは被災情報や支援対象の把握に電子データを活用する基盤になると期待されている。

議会で噴出した主な論点

デジタル化の恩恵を誰が受け、誰が置き去りになるのかが最大の争点だ。ワクチン予約の混乱を持ち出し、デジタル弱者への対面支援を継続すべきだと議員は繰り返し指摘した。

詐欺防止と迅速支給のバランスも問われた。申請書の記入ミスへの職権修正や訪問対応の可否は、速やかな支援実現のための現場運用と直結する。行政は柔軟対応を約束するが常時訪問の明言は避けた。

実務の壁──現場で何が足りないか

判定の自動化やAI導入に対しては慎重な声が上がる。生成AIの誤表現例を示し、市は職員による確認と修正を前提に段階的導入を進める方針を示した。完全自動判定への道筋はまだ描けていない。

データ連携と台帳運用の整備も急務だ。避難行動要支援者名簿は関係機関に提供されているが、実効性を高めるための運用見直しや地域との共有方法が今後の課題だ。

住民への影響と今の決断が残すもの

拡声塔の停止やアプリ導入は情報伝達の近代化を進めるが、スマホ未所持者や高齢者対策が不可欠だ。議会はラジオ補助や公民館での支援強化を求め、行政は補助対象拡大で応じる方向を示した。

最終的な鍵は運用設計だ。システムを導入しても運用ルールや職員研修、事例の蓄積がなければ現場は混乱する。議会は記録様式や共有体制の整備を重ねて要求した。