協定は増えたが「運ぶ仕組み」が課題だ

倉敷市は避難場所の確保に関する協定を多数持つ。地域の施設が避難所として機能する体制は進んでいる。だが、物資を届けるための協定は限られている。数があっても実際の供給力と手順が明確でないと意味が薄い。

行政は平時に連絡責任者を確認し、住民参加の訓練も行っている。実務的には倉敷防災フェアや県の物資オペレーション訓練に参加するなど連携を重ねる。しかし議会では、物資供給ルートや燃料・入浴支援の現場運用まで詰められているかが問われた。

「三日間」の物流想定と現場の厳しさ

市は道路寸断で物流が約3日停止する前提で備蓄を運用している。備蓄倉庫からの輸送は公用車が基本だ。必要なら県経由でトラック協会に協力要請を行う計画だ。

現場では公用車だけで足りるかが不安だ。大型物資や大量供給は民間トラックやキッチンカー、ホームセンターなどの協力が鍵となる。議会質疑では、その協力体制の具体化を求める声が強かった。

情報保障の実務──弱者に届く仕組みを

停電でテレビが見られない聴覚障がい者への伝達は深刻な課題だ。市はアプリや防災ポータル、SNS、緊急告知FMなど多チャネルで情報を出す。FM機器は緊急受信時にライトが点灯する機能もある。

さらに事前登録者には保健福祉部局がファクスで連絡する仕組みを用意している。だが議会では、停電や通信途絶の想定下で代替手段が十分か、より実践的な検証を求める意見が相次いだ。

訓練と協定の「温度差」を埋めるには

市は防災訓練やフォークリフト研修で配送の実務力を磨く努力を続けている。毎年4月に連絡先を確認し、平時から関係性を作る工夫もしている。

ただし協定を結ぶ相手先の現場体制や、発災時の役割分担まで落とし込めているかが鍵だ。議会が示したのは、数を積むだけでなく現場で確実に動く合意書作りの必要性である。