現場はこう変わった
市は地域公共交通の課題を長年にわたり整理してきた。計画は示されたが現場の数字は揺れている。
コミュニティタクシーは当初の期待を抱えて各地区で導入された。だが豪雨やコロナ禍で利用が落ち込み、回復が地域差として現れている。
普及を阻む三つの壁
第一に運転手の確保である。事業者は人手不足を理由に新規参入をためらう。地域の努力が空回りする事例も出ている。
第二に運行経費の扱いだ。導入当初の1便当たりの費用が長年固定され、燃料や人件費上昇に耐えられないとの指摘が出た。
第三に地域負担と担い手の高齢化だ。自治会の加入率低下やリーダーの高齢化で運営主体が立ち上がらない地域がある。
議会と行政の駆け引き
議員は評価指標の明記や予算増額を繰り返し求めた。行政は会議の場で専門家や市民の意見を聞きつつ検討すると応じるにとどまった。
運行経費の見直しは一歩前進した。距離を基準に事業者と地域で調整を進め、当初の9地区のうち複数地区で再交渉を終えた。
だが公共交通政策に割く予算は市の説明では限定的だ。他都市と比べて割合が低いとの指摘があり、具体的な増額案は示されていない。
市民の暮らしは何が変わるか
選択肢が増えれば高齢者の外出は楽になる。だが制度のままでは導入されにくい地域が残る恐れがある。
行政が示す評価シートや会議での検証が機能するかが鍵だ。数値と現場の感覚をつなぐ仕組みが不可欠である。