現場の変化とベッド運用の工夫

病床稼働の改善は現場の工夫で生まれた。急性期90床と地域包括ケア50床の140床を稼働目標に掲げ、毎朝の多職種による病床運用会議で入退院を細かく調整している。

令和6年度は救急搬送の受け入れ強化や他院からの下り搬送の積極受入れにより稼働率が上がった。紹介患者の増加も寄与しており、単発の改善で終わらせない仕組みづくりを進めている。

だが病床利用率は地域の医療需給に左右される。近隣病院の動きや救急搬送の実態が変われば即座に影響が出る。現場は可変的な需要に常に対応し続けねばならない。

人材確保と医師の高齢化の克服

医師の平均年齢は高く、新陳代謝の遅さが懸念だ。市は専門医取得を目指す専攻医を年に数名受け入れ、岡山大学の学生実習も継続している。若手を“職場候補”に育てる方針だ。

具体的には前期・後期の専攻医を受け入れ、大学側へ医師派遣を要請している。受け皿を用意しつつ関係機関と連携して人の流れを作る取り組みだ。

しかし若手誘引は一朝一夕には進まない。専門医制度への対応や待遇、教育環境の整備を同時に進める必要がある。地域の魅力づくりも重要な要素だ。

財務の現状と外部リスク

病院会計には未処理欠損金が残る。直近で純利益を出す年もあるが約26億円の未処理欠損金は重い。補助金や診療報酬の変動で収支は脆弱になり得る。

国のコロナ関連補助や病床確保料が削られれば収益に直撃するとの指摘がある。市は収益増と経費節減で対応する姿勢を示すが、具体的な“穴埋め”策は示されていない。

資金面ではシナリオ分析と優先順位の明確化が急務だ。短期的には診療収益の確保と効率化を進め、中長期では財務健全化の計画を示す必要がある。

DXと地域連携で見える次の一手

医療のデジタル化は現場の負担軽減と収益性向上の両面で期待される。病院は電子カルテ更新を進め、電子処方箋の本年度中導入を目指して準備を進めている。

地域連携の強化も不可欠だ。3次救急病院との役割分担や下り搬送の円滑化、診療所との紹介連携が診療供給と稼働の安定に直結する。

だがDX投資や連携体制の構築にはコストがかかる。市と病院は投資効果を見極めながら優先順位を付け、住民に安心できる診療体制を保証する道筋を示す必要がある。