現状とこれまでの歩み

平成30年頃は待機児や未決定児がまとまって存在した。議会でも危機感が示された。その後、民間保育所の増改築や認定こども園への移行で受け皿を拡大した。

令和3年の議会では、市は令和3年4月から民間保育所の増改築で274人分の定員増を予定すると説明した。過去には一度に300人超の定員確保計画を示した年もあった。整備は進んだが、需要の動きも速い。申込みの増加が常に追いかけてくる。

学童保育では、運営委員会方式だけでなく社会福祉法人やNPO、法人委託を試す動きが出た。試行の成果を踏まえ、令和5年4月の本格実施を目指して準備を進めたが、導入に伴う懸念も噴出した。

運営主体の多様化がもたらした論点

市は令和3年度から7法人による44クラブで運営主体の多様化を試行した。現場点検や保護者アンケートで大きな問題は見つからなかったと市は評価している。

しかし議会は議員や市長と関係のある法人の参入、あるいは一法人への受託集中を懸念した。市は契約書に政治的勧誘を禁じる規定を加え、公募要件の整理も行うと答えた。受託数上限の検討も進める方針だ。

運営主体が変わっても支援員は原則継続雇用とし、保育料の値上げもしないとの条件が示された。だが現場からは雇用関係や支援員の意識変化を詳しく調べ、公表してほしいとの声も上がった。市は調査中だが公表は限定的にする考えを示している。

現場と保護者が直面する課題

一方で実務面の負担は残る。運営委員会方式のクラブでは事務や労務管理が過重になりやすい。移行先として法人やNPOを選ぶ試行が始まった背景には、こうした現場のしわ寄せがある。

夏季の熱中症対策や弁当の衛生管理といった運用面の細部も議論された。市は暑さ指数に応じて屋内外を使い分け、保冷剤の使用を保護者に呼びかけるなど実務的な指導を続けている。

被災地の事情も見逃せない。みなし仮設住宅で暮らす児童が夏休みに送迎で困るケースには、市が受け入れ先確保などで個別対応すると答えている。

「最後の数人」をどう埋めるか

市は入所調整を丁寧に行い、AI導入など効率化も図ってきた。だが待機児数は基準設定次第で変わる。市は片道約20分を登園可能圏とする独自基準を置き、国の片道30分基準より厳しくしている。この違いだけでも数字は動く。

今後の焦点は三つある。第一に3歳未満児の受け皿確保だ。認定こども園の受け入れ年齢引下げや地域型保育の促進で対応する方針だ。第二に保育士・支援員の処遇改善と宿舎支援で人手を確保すること。第三に運営主体のルール整備で質と公正を担保することだ。

制度設計と現場の労働環境の両方を同時に整えなければ、数は減っても家庭の不安は消えない。市の今後の舵取りが問われる。