増えるニーズと担い手の実像

成年後見の必要性は高まっている。単に相談が増えたという話ではない。認知症や孤立で自分で判断できない人を守るニーズが広がっているのだ。

だが担い手は偏っている。親族が約2割、専門職が約8割という構成が行政の説明から浮かぶ。市民後見人の実務経験者はまだ極めて少ない。

実務の経験が乏しいと、手続きの遅れや本人の意思をくむ対応に差が出る。身寄りのない高齢者はとくに危うい。制度の“穴”が現場で顔を出している。

市の取り組み――研修と連携の実態

倉敷市は令和2年度から社会福祉協議会に研修を委託し、市民後見人の養成を進めてきた。研修修了者は市民後見活動支援員として実務に入れる仕組みを整備した。

相談窓口は福祉援護課や地域包括支援センター、障がい福祉課などが連携して受ける体制だ。市内には25か所の高齢者支援センターがあり、早期発見につなげる動きがある。

さらに市は弁護士会や司法書士会、社会福祉士会、家庭裁判所と連携するネットワークを作り、権利擁護支援の体制構築を進めている。だが実践での人的余力は依然として限られる。

議会での論点と残された課題

議場では産む努力と整備の速さが争点になった。市は第一期計画を経て実施機関の設置を目指すと説明したが、議員は不正防止や相談窓口の周知、実務研修の中身を厳しく追及した。

不正対策については国のガイドラインに沿った研修や意思決定支援を進める方針が示された。だが監視・第三者チェックの具体的運用は十分とは言えない。

身寄りのない認知症の人には認知症カフェやGPS助成、安心おかえりシールといった支援が届く仕組みがある。しかし成年後見への橋渡しと実務で支える体制は、まだ脆弱である。